あなたは、お子さまの記述力に不安を持っていませんか?
国語の記述問題は、何を目的として出題されるのでしょう?
問う内容や字数など形式は様々ですが、問題作成者が記述問題を出題する意図は
- 文章を理解する力
- 考えをまとめる力
- 説明する力
これを見るために出題されます。
記述問題とは、「筆者の考えや登場人物の気持ちを正しく理解し、それらを適切にまとめ、相手に分かりやすく説明するもの」と言えます。
このことが出来れば、素晴らしい答案ができます。
記述問題にベストな解答はありません。
良い解答というのは人の主観になりますので、見る人それぞれで変わってきます。
模範解答も、あくまで解答の一例にすぎません。
ですから、指導者によって指導方法が異なったり、世の中の記述対策のノウハウもまちまちだったりします。
このコンテンツは、そんな記述問題のさまざまな対策の中でも、最低限おさえておかなければいけないものだけに絞り、国語が苦手な子でも行えるように「注意点」「問題に取り組む時」「解きなおし」について解説します。
特に記述問題が苦手なお子さまには有効なコンテンツですので、是非最後までご覧ください。
記述を書く際の注意点
1.素材文を読む時に大切な箇所に印をつけておく
記述問題に限らず、読解は正しく文章を理解することが一番大切です。
正しく文章を理解するために有効な手段が「素材文に印をつけること」ですね。
長い素材文の中でも、特に重要なことは問題にも出題されやすいので、素材文を読んでいる時に大切な文や言葉には必ず印をつけておき、それを根拠にしながら問題を解いていきます。
どこに印をつけるべきかについては国語という教科についてを参考にしてください。
2.いきなり書くのではなく、ゴールから組み立てる
記述問題で多くの子どもたちが苦戦することが、「適切にまとめる」ことです。
その原因としては、記述問題を取り組む時に、いきなり解答用紙に書く子が多いことが原因でしょう。
記述は書き出しが大事なのではなく、締めが大切なのです。
例えば、「どのような気持ちですか」という問いであれば、
最初に、「うれしい気持ち」「悲しい気持ち」など、締めを考え、その後、なぜうれしいのか、悲しいのかを上に乗せていくのが記述の考え方です。
いきなり記述を書くとまとめきれずに、字数制限内におさまらなかったり、設問の意図に上手く応えられていない記述になったりします。
記述問題で部分点がもらえない子の多くは、この「ゴールから組み立てる」ことを行っていません。
そのような子たちは、「なんて書き始めようかなぁ」などを考え、1問あたりに時間をかけてしまう上に、適切なまとめができていないのです。
また、「うちの子は記述を全く書こうとしないんですが・・・」という場合は、
「どういう気持ちだと思う?」と聞き、その答えを締めとして、「なぜうれしいの?」「誰が?」「きっかけは?」などフォローを入れながら、上に乗せていくのが、正しい記述の指導法です。
要するに、文の締めを最初に意識させることが最も大切なことなのです。
3.相手に分かりやすく説明する
記述を書く基本は、相手が素材文を読んでいなかったとしても、理解できるように書くことです。
これを意識することにより、記述の点数は必ず上がります。
例えば、「どのような気持ちですか」という問いで
「うれしい気持ち。」これだけでは、よく分かりませんよね。
なぜうれしいのかが気になります。
「お母さんにほめられて、うれしい気持ち。」これでも、なぜほめられたのかが気になります。
「いつも怒ってばかりのお母さんに、満点だった小テストの結果をほめられて、うれしい気持ち。」
これで、素材文を読んでいなくても状況が理解できるようになるわけです。
また、指示語の使用も基本的には避けましょう。
「このような方法では結果が出ないから。」
どんな方法だよ!と突っ込みたくなりますね。
相手に理解してもらうことが大切ですから、相手が素材文を読んでいなくても分かる指示語以外は使わないようにしましょう。
これは、状況を知らない相手に分かるように説明するわけですから、いわゆるひとつのプレゼン能力です。
このプレゼン能力を上げるのは、国語の学習だけではありません。
日ごろのお子さまとの会話で、状況がつかめない時は逐一お子さまに聞くことも大切です。
厄介なことに子どもたちは、自分が上手く説明できていないことに気づいていません。
それをそのままにしておくと、記述力は上がりませんし、プレゼン能力も育ちません。
国語の記述問題だけでなく、日ごろのお子さまとの会話でも、しっかり説明できるためのフォローの言葉をかけてあげましょう。
記述問題に取り組む時
いよいよ、記述を書いていきます。
記述の書き方を3つおさえておきましょう。
1.記述の型をおさえる
記述の基本の型は、3つのパートで作ります。
理由→ゴール→文末
まずは、この流れで書けるようにしていきましょう。
例えば、「なぜ泣いていたのですか?」という問いで、模範解答が「母親に叱られて悲しかったから。」だったとします。
今回の場合
理由:母親に叱られた
ゴール:悲しい
文末:から。
となります。
もちろん、「ゴール」+「文末」から考えますよね。
そして、字数に合わせて理由を膨らませていきます。
理由で書くキーワードとなる言葉は、記述を書きだす前にピックアップをしておき、それらを文章でつなげていきます。
字数が何文字であれ、基本的には「ゴール」+「文末」は変わりません。
理由をどれだけ膨らませるのかが変わってくるのです。
2.客観的な記述をする
これが難しいのですが、記述はあくまで「その素材文を読んで一般的にどう感じるか」を書くものです。
ですから、記述で書く内容は
- 素材文に書いてあること
- 素材文の内容から一般的に考えられること
だけを書きます。
(例外として、自分の意見を記述する問題もありますが)
国語が苦手な子どもの多くは、自分が感じたことを記述します。
それを払拭することが大切です。
慣れるまでは、「素材文に書いてあること」のみで記述すると良いでしょう。
それだけでも、的を外していなければ点数はもらえます。
そして、模範解答を見ながら、「素材文の内容から一般的に考えられること」を少しずつ学んでいきましょう。
3.8割を意識する
この8割というのは、字数です。
例えば、30字以内と指定があった場合は24字、50字以内と指定があった場合は40字が最低ラインと思っておきましょう。
もちろん、句読点も1字とカウントされます。
8割を下回ると、点数がもらえない学校もありますので、普段の学習から8割は常に意識しておきましょう。
記述問題の解きなおし
国語は解き終わった後、解きなおしをどのように行うかによって、力のつき方が大きく変わってくる教科です。
今回は、記述の解きなおしのポイントを載せておきます。
1.丸つけは自分でやらない
国語が苦手な子どもは、自分で丸付けができません。
模範解答と全く同じ記述を書いていた場合はできますが、まず模範解答と全く同じになることはありません。
自分の記述と模範解答を見比べても、合っているのか間違っているのか分からないのです。
ですから、丸付けは他の人が行うようにしましょう。
親でもいいですし、塾の先生でもいいでしょう。
国語が苦手な子どもに、国語の学習を全て任せても結果は出ません。
最終的には、子ども自身が〇△×の判断をできるようになるのが目標ですが、それまでは採点をしてあげてください。
採点するのは〇△×の3段階で十分です。
2.解説を見ながらキーワードチェック
どのような記述でも、採点する以上必ず基準があります。
その基準の1つが「キーワード」です。
この記述問題には、この言葉は必ず入れてほしい!
というものですね。
このキーワードは各記述に必ずあります。
そのキーワードを模範解答から見つけてもらい、素材文の中からも見つけます。
この時に、なぜそれがキーワードとなるのかという理由づけもできると良いですね。
素材文の中からも見つけてもらう理由は、キーワードが素材文に書いてあることを意識づけるためです。
3.自分なりの記述を書く
キーワードを理解したら、最後は自分なりにもう一度記述を書いてみます。
模範解答を赤で書く子を多く見ますが、あまりおすすめはしません。
模範解答を写すことは、記述の型をおさえるうえでは有効です。
しかし、それがただ写すだけという作業になっていた場合、効果は見込めないでしょう。
学問はやはり、考えることが重要です。
そういう意味でも、もう一度自分なりに記述してみることをおすすめします。
記述問題は配点が高くなります。
ですが、選択肢や抜き出しと違い、的を得たことを記述していれば、多かれ少なかれ点数がもらえるものでもあります。
よく目にするのが、国語が苦手な子どもに完璧な解答を求める保護者の方々です。
それは、子どもにとってプレッシャーにもなりますし、いきなり完璧を求めてもできるわけがないのです。
「部分点をもらえるようにする」、「部分点を少しずつ上げる」
このように少しずつ点数を上げていけば良いと思いませんか?
できることから始める
これが国語の記述では大切です。
そのためには、お子さま1人に任せるのではなく、お子さまの側でしっかりサポートをしてあげましょう。